河川の氾濫、高潮などで区内ほぼ全域が水没すると言われている江戸川区で、重度障害者の避難について考える「NPO法人自立生活センターSTEPえどがわ」が2023年におこなった集団広域避難訓練をまとめた動画。ここから地域で暮らす重度障害者の避難の難しさが垣間見える。
STEPえどがわ2023集団・広域避難訓練(ワークまとめ)
自立生活センター「STEPえどがわ」における防災の取り組み
2019年台風19号の経験から広域避難の事前検討の必要性を痛感し、同年12月に防災担当者及びその家族等12名で広域避難訓練のシミュレーションを行ない、それを基に50名規模でリフトバスを借り清里への集団広域避難訓練を2022年6月に実施、
参加者からは概ね好評で、「避難する」という事に対するハードルが下がったといった意見が多く聞かれたが、場所・物・避難手段の確保など条件が整った状況での避難であり、実際の避難とはかけ離れている。そこで第3回目として本年8月29~30日「よりリアルに」をテーマに障害当事者・支援者総勢60名規模で、近隣の千葉商科大学へ各自で避難に必要な物を持参して一泊の避難訓練を実施した。
大規模水害(河川氾濫・高潮)時のリスク
江戸川区の殆どがゼロメートル地帯で2週間程度の水没が予測されている。
自宅が浸水しなくても、日常的に介助を使っている者には介助者が訪問できない状況では生活が維持できない。排泄等の医療ケアが必要な者には医療者の訪問も不可欠。
停電によるリスクの例
- 呼吸器等の生命維持装置
- エアコン(自律神経麻痺により体温調節ができない者もいる)
- 電動ベッド(リクライニング等で自力で体位調節が出来なくなる)
- リフト(車椅子への乗り降りが困難になる) 等
福祉避難所の問題
場所が割り当てられているものの、避難所周辺も水没している可能性が高い(上記の課題が解決されるわけではない)特別な備品や介助者が確保されているわけではないので、各自必要な物を持参し介助者も一人だけ連れていく。生活は介助者同士協力し合って避難生活を送る事になる。家族がいない者は介助者を連れていく事になるが一人の介助者がそこに長時間拘束されるのは心身ともに負担が大きすぎる。使い慣れた備品を持ち込まなければ生活の負担が大きくなるが、持ち込む荷物の量が多くなれば避難自体が困難になる。
知的障害者にとっては環境の変化が大きなストレスになるため、避難所へ行くこと自体躊躇する者が多い。
集団避難の必要性と課題
環境の変化により普段以上の介助を必要とする事が予測される上、長時間拘束される事は介助者にとっても心身の負担が大きいため、サポート・交代の要員が確保でき、かつ介助者・当事者の家族等も一緒に避難できれば安心にもつながると考えるため、ある程度の集団で避難できる事が避難生活の維持に有効と考える。ただ、一定の人数が収容できる場所の事前協定が必須である事、また災害発生時に避難に戸惑う者の対応などに時間がかかっていると全体として逃げ遅れる事などもあり得るため、平時から避難について検討しておくことが重要である。
<訓練協力>
<企画・制作>
自立生活センターSTEPえどがわ
東京都江戸川区南篠崎3-9-7
TEL:03-3676-7422 FAX:03-3676-7425
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