NPO法人自立生活センターSTEPえどがわ
理事長 今 村 登
2002年「STEPえどがわ」という団体名を決める際、私が提案した「ズバッと江戸川」は、散々嘲笑の的になった末に却下されたが、その2年後に「みのもんたの朝ズバッ!」という番組(TBS)が大ヒットした。体験ルームの名称で提案した「ヤッテミーナ」は、採用はされたものの、嘲笑の的であったことに変わりはなかった。でもその2年後、富士急ハイランドに登場した大ヒットアトラクションの名は「トンデミーナ」…
それはさておき、講演や研修で「あなたは、自分は自立していると思いますか?」と問いかけると、学生の場合はほぼ100%の人が「まだ自立できていないと思う」と答える。社会人になると、半々くらいになる。それは、ほとんどの人の自立観が自分の身の回りのことは自分でできる、いわゆる「身辺的自立」と、自分の稼ぎで生計を立てている、いわゆる「経済的自立」であるからだろう。
それに対し、障害者の自立生活運動(IL運動)が打ち出してきた「自己選択」「自己決定」「自己責任」をキーワードとする、「介助」(支援)を受けながらの自立観を語るのが常套句であるが、ここ数年はこの3点セットのキーワードに付け加えて、「依存」を話してきた。
引用させてもらっているのは、東大の安冨歩教授の著書「生きる技法」に書かれていた
「自立とは依存することだ」
「依存する相手が増えるとき,人はより自立する」
「依存する相手が減るとき、人はより従属する」
「『助けてください』と言えたとき、人はより自立する」
の4フレーズ。
そして「あなたは『助けてください』と言えますか?」と問いかけると、ほとんど手が上がらない。依存は良くないことと思い込んできた人が多い中、いきなり「自立とは依存することだ」と言われても、すぐには腑に落ちないからだろう。それでも言い続けてきましたら、2017年12月3日のDPI政策討論集会の全体会にご登壇いただいた東大の熊谷晋一郎准教授が、基調講演の中で「依存できる相手を多く持っていることが自立につながる」というお話をされ、多くの共感を得ていた。
人は生きていれば誰もが歳をとり、目や耳、足腰、臓器などなど身体の不調をきたすことが増えてくる。「障害者は人生の水先案内人」とも呼ばれる所以だ。だから障害者が暮らしやすい社会は、全ての人が暮らしやすい社会と言える。
私は29歳で「人生の水先案内人」になった。
どうやら、私は時代を先取りし過ぎてしまうようだ。
障害者のIL運動とは、どんな重度な障害があっても、どんな障害であっても、自分の住みたいところに住み、やりたいことに挑戦しでき、成功も失敗もやり直しもでき、努力は必要だが苦しい時、辛い時は「助けて」と言える強さと、自分と仲間を信じ切れる力を持ち、誰かの犠牲の上でしか成り立たないことはなくしていき、誰も取り残されない平和な世の中をみんなで創っていく活動なんだと、この活動を10年ほどやってみてようやく気付いた。
あれ?全然時代を先取りしてないじゃん。
ま、いいか。
とにかく「一緒に世の中変えていきたいっ!」と思う人、この指とまれ〜!
(あ、指伸びないんだった(^_^;))
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